揚琴(ようきん、楊琴とも書く。中国語ではヤンチン)という中国の伝統楽器をご存知だろうか? 実際の楽器が上の写真、結構重そうな代物。これを上から見ると、下の写真。無数の弦が横向きに張られている。
先日行ったコンサートで木琴のような不思議な楽器に出会ったのだ。これは、弦楽器の一種で、梨の木から作った台形の木に、150本ほどの弦を張ったもので、これを2本の竹のバチで叩くことによって音が出る。その構造は、ちょうどグランドピアノの蓋をあけて中をのぞいた時の様子に似ていて、ピアノのルーツとなった楽器が揚琴と言われているのがよくわかる。
ちなみになんでこんなに弦が多いのかというと、太い低音弦をのぞいては復弦構造になっているから。(復弦というのは、同じ音をとなりあわせに何本か並べて調律されている仕組みの弦のこと。ピアノやマンドリンに同じ仕組みがある。)高音の弦ほど細く音が弱く、低音の弦ほど太くよく鳴るため、最高音のあたりの弦では一つの琴柱に対し5本張ってあるところもある。復弦だから音は同じとはいえ、調律は1本1本しなければならないとのこと。これはかなり大変。
また、揚琴はピアノと違って毎日調律しなければならない楽器。でも、150本以上もあるわけだから、1本にたとえ5秒しかかけずに次々調律したとしても15分近くかかってしまい、更に厄介なことに150本を締めたりゆるめたりした後には最初の方に調律した部分は150弦の圧力の変化によってまた少しずれてしまうという、これまた困った感じらしい。更に演奏会では、照明の温度により、調律に変化が生じるというから、演奏中の変化もこれまた大変。
と、そんな揚琴(ヤンチン)を近くで見ることができたので、ちょっとだけ書いてみた。