最近、たろうが合わせる背中の位置がずれてきた
夏場の暑い時期でも、わずかな時間でも、たろうは横向きに寝ている私の背中に、自分の背中をひっつけることがあった
それが最近、ウエスト辺りまで下がってきている

夏場は暑いから、たろうは丸まった背中を、これまた丸めた私の背中の端にほんの少し当たるようにして寝ていたのだが、最近ではちょうどおさまるように、ウエスト辺りの窪みに沿うように寝るようになった

猫も、何も考えていないようで、それなりに考えているようだ

それに、この背中を合わせると言う行為は、精神安定剤のような効果があると私は思う
黙って背中を合わせていると、じんわり伝わってくる温かさと、見つめ合わない分、何も思わないでただなんとも言えない安心感に包まれる

私は子供の頃、何か嫌なことがあると、よく祖母の背中を借りたものだ
あの小さな背に、どれほど大きな力が宿っていたことか

たろうも色々我慢しているようだから、私の背中で落ち着くのかもしれない。たろうにとって、私が私の祖母のような存在だとしたら、なんだか嬉しいなと、私は思った