「北海道の○○水産と申します~」
「ご主人様でいらっしゃいますか?」 『はい。そうですよ。』 「当社は今年,創業××周年になりまして,感謝の気持ちを込めて赤字覚悟の大特価でカニをお届けしております。」
飛び込みのセールス電話です。 かなりベテランの営業のようでした。
「いやあ~今回はなんと,4kgで22,000円のところ13,000円!しかも送料は当社で負担します!」
『けっこうイイ値段するねぇ。』
「ところがそうでもないんです。これは比べてみてもらえばわかるんですが,美味しい身もぎっしり詰まってまして・・・」
『よおし。』
「お買い上げいただけますか?」
『いや,実はね,ワタシら一家は全員カニが大好きなんです。』
『特にワタシなど,カニはこの世で2番目に美味しい食べ物だと思ってるし。』
『別段,お金にも困ってないし,たまにはカニ鍋をしたいとも思ってます。』
『お宅はラッキーですよ!電話した先がそういう家庭だったんですから。』
『ただ今は買う気になってません。』
『さあ,営業トークを続けて,ワタシを買う気にさせてみて下さい。』
「えっ?ん・・・??ええっ?!」
「じゃっじゃあ,買って下さいよ。」
『ヤダ。今のままじゃヤダ。だってワタシ,買う気になってないもの。』
『あなたがワタシの心を ときめかせてくれれば買いますよ。しかも値切り無し』
『営業トークが当たり前すぎる。』
『カニが好きだって聞いた直後にこういいますよ。』
『そうでしょうwワタシは最初にあなたの声を聞いた時から,カニが好きな方なんだな~と思ってたんです。と。』
『その後,【どんなカニが好きなんですか?】から入って・・・』
『商談は組み立てでしょうw相手の意見を尊重しつつ,決してノーと言わず,相づちを打ちながらハメていく。間違っても【えっ?】なんて使っちゃダメですよ。』
『ワタシがあなたの上司なら,クビ,きっちゃいますよ。』
こんな会話をしました。 もしワタシがこんなこと言われたなら, 掛かってくれば買おうと思ってたのに,掛かってきませんでした。 3日後とかに掛かってきても,なんの驚きも感動もありません。
ワタシは基本的に飛び込みの営業電話は断りません。
彼らだって必死で仕事をしています。
彼らはモノを売ることが仕事ですが,客と話をすることも仕事です。
聞いてあげることが,彼らの仕事になっているのです。
買いもしないのに聞いてあげることは,実質彼らの会社にとっては良くないことですが, 経済活動を行っている会社には,しっかり経費をかけてもらわないと経済がまわりません。
しっかり経費を使ってもらい,少しでも高く商品を売ってもらい,営業のスキルを上げてもらうことが日本のためになります
どうか,飛び込みの電話はすぐに断らず,ある程度話を聞いてあげていただきたいと願います。
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