私も苦手です
なかなか、小袋は切れないこともあるし、吹き出しちゃったり
日曜日の夕方、普段は物静かな婆さんがテレビを観ながら頗る活発にプロレスラーを応援していたことを思い出す冬の朝である。 そもそもわたくしは不器用なのだ。 不器用なくせに神経質なのだから日常生活の中では色々と苦労が多いのである。 わたくしの大好きな乗り物と同じ名前の即席焼きそばに関しての悩みは、かれこれ15年以上にも及ぶのではなかろうか。 ソースについて、である。 「こちら側のどこからでも切れます」 と書いてあるのだが、手が濡れていたりすると上手く力が入らずに開けることができないのだ。 惨敗の気持ちである。 空腹時の惨敗感というのは頗る物悲しく、失恋にも似た脱力感がある。 それから、あのソースの袋というのは、切り終えることができないのだ。 開けることができたら今度は端までスーッと切り、それをソースの袋本体から切り離したいのだが、何故かもうすぐといった箇所に於いて切れなくなるのである。 ビロビロとした部分が残った状態で麺にソースをかけていると、必ずそのビロビロ部にソースが付着してしまうのだが、それがとても嫌なのだ。だからビロビロ部を右手でそっと持ってやりながらソースをかけていくのである。 かけ終えても油断してはならない。 安易に手を離すと、ビロビロ部がビヨーンと元の位置に戻る際に、わずかに付着したソースが散るのである。お気に入りの素敵シャツやダンディーズボンが、ソースに汚されてしまうだけではなく、奴の匂いに付きまとわれる羽目になる。 「お昼、焼きそばだった?」 と聞かれて、前歯に青海苔が付いているか否かを焦って確認しても無駄なのだ。シャツに付着したソースの匂いによって指摘されたことなのだから。 恐るべき兵器である。 「ソース袋になぜこんなに気を遣わなくてはならないのか!」 悔しいのだが、かといって鋏を使うのも癪なのである。 【サックスとfujiborn】 サックスの魅力は音色です。常に自分が出している音に耳を傾ける必要があります。 音楽と宇宙と あなたをつなぐ サウンドトレジャー |