「ライブが終わったら一緒に唐揚げを食べましょう」 こんなことを言われるとわたくしは有頂天である。 宇宙との交信、どんな唐揚げを食べるのか、その2つで脳細胞をはじめ体中の細胞が「ウチュウ・カラアゲ・ウチュウ・カラアゲ」と核から音声をあげ、細胞壁に反響するという、いわば細胞1つひとつがライブハウスと化してしまうといった現象が起こったのである。 岡山県笠岡市の「カフェ・ド・萌」でのライブを終え、出演者数人で唐揚げを食べるため雨の中を車で移動。 「唐揚げを食べられるなら、雨もダイヤさ」 「キーワードはクウネルアソブ」 こんな懐かしいフレーズを頭の中でループさせつつ、唐揚げ会場へ到着である。 唐揚げがテーブルに運ばれてくるまでの時間というのはいつだって、恋人と逢うときのような気持ちなのである。 席を振り返り、厨房から運ばれてくる唐揚げを目で追いたい。いや、できれば席を立ち、店員が運んでいる横を共に歩き、唐揚げをエスコートしたい。 しかしここは我慢である。あまり優しくすると唐揚げは調子に乗るからな。 テーブルに置かれた唐揚げを見た瞬間、わたくしは嬉しさのあまり絶叫したいのである。 それはもう、歓喜と感動、希望と躍動、そういった様々な感情が溢れだしたような絶叫である。 しかしここも我慢なのだ。あくまでも英国紳士である。または日本男児及びジャパニーズスピリッツ「秘すれば花」なのだ。 さて、テーブルに置かれてすぐにでも手をつけたいところであるが、ここで3度目の我慢をするのである。喜びのあまり、即座に手掴みで口へ投入しようものなら口内は火傷を負ってしまう。 前歯の裏のアノ部分がベロンとなってしまう。つまり「ヤケドするぜ」なのだ。50年前のハリウッド、40年前の松竹・東映なのである。 こうしてドラマティックにわたくしの喉を通過していった唐揚げは細胞へと行き渡り、頗る満足感を持って昨日を終えたのである。 ライブの後は唐揚げ、という流れを習慣にしたい。 そのため、次回からはライブ会場から行ける唐揚げ会場をしっかりチェックしておきたいと思う次第である。 【サックスとfujiborn】 出にくい音、出しにくい音というのがあります。 「サックスの調子が悪いんですけど・・・」 いえ、扱えてないだけです。 音楽と宇宙と あなたをつなぐ サウンドトレジャー |