ギターの弦交換をしてほしいと、中年男性のお客様が持ってきたギター。 1970年代のモーリスTF-50である。 わたくしはこの年代の日本のギターがとても好きで、修理依頼など受けた時にはいつも嬉しい気分になるのである。 なぜこの年代が好きかというと、造りがとても丁寧だから。 特にボディー内部の構造が非常にキレイに処理されており、当時の職人さんの楽器作りへの情熱や楽器への愛情を感じるのである。 わたくしはサウンドホール(アコースティックギターのボディーの穴)から中をじっくりと観察してニヤニヤするのである。時々「ヘヘッ」などと短く笑っていたりするものだから、人には見られたくない光景である。 弾くときに指がすぐ痛くなる、と言われていたので、ネック調整とサドルとナットでの弦高調整。 長いこと弾かれていなかったであろうこのギターをクリーニングし、弦を張って弾いてみると、やっぱり素晴らしい音色だ。 70年代のモーリス特有の、輪郭がはっきりしていて温かみもあり、キラキラーっとした響きである。 ギターを引き取りに来たお客様には、コンディションをチェックして頂くため、お渡しするときに弾いてみてもらうことにしているのだが、弦を張り直したギターを弾いてみて、とても満足して下さった様子だったのでわたくしも満足である。 わたくしと同じころに生まれたギターに「えかったねぇ。また遊びに来んさいね」と電波を飛ばしつつ、お客様を見送りましたのでございまする。 【サックスとfujiborn】 苦手な部分を矯正するよりは、得意な部分を広げていくほうが上達は早い 音楽と宇宙と あなたをつなぐ サウンドトレジャー |