どうにも気になるのだが、ぐっすりと眠れてしまうのでそこまで気になっているわけでもないと思う。 あの液体を熱で蒸発させて殺虫成分を拡散させる便利なやつのことである。 蚊をはじめ、様々な虫を短時間で殺してしまうあの薬品には果たして人体への影響はないのだろうか。 簡単に虫が死んでしまう成分を毎年3~4カ月の間、毎晩吸いながら過ごしていって、人体へは全く無害と言い切れるのだろうか。 昔ながらの渦巻きの煙幕は、少年時代に煙たくてこのまま蚊と共に死んでしまうのではなかろうかと夏の間じゅう心配したものであるが、現代版のは煙が出ないので気が付くと死んでいるという可能性も高いなと、それはそれでちょっとドキドキしたりもする。 そんなに心配なら使うのをやめれば良いじゃないかと言われてしまうのかもしれないが、使うことを止めた場合のリスクは途轍もなく大きいのである。 真夜中に耳元を飛ぶ羽音。 暗闇の中で目を閉じたまま、「小生はこれから眠るのでございますから」と心の中で何度もモスキートに訴えつつ、適当に手を打ってみたり、羽音が止まったタイミングで無暗に頬を平手打ちするという自傷行為をしてみたり。 頗る危険な行動をしながら何とかその場をやり過ごそうとするのである。 そうやってしばらく部屋にパチンパチンと音を響かせても尚モスキートバトルが終わらないときは、堪らず灯りを点けて眩しそうな目をして蚊を目視しようとするのだが、どうしても見つけることはできず、諦めてまたも眠りに就こうと試みる。 この時既に人はモスキートに異常なまでの敵対心を抱くのである。 僅か1センチ。指先で簡単に潰れてしまう相手に抱くその敵対心はモスキートからすれば光栄かもしれぬ。 「ますます邪魔をしてやろうか」「眠れなくしてやろうか」などと頭の中で語尾を「蚊」に変換してみたりするのじゃなかろうか。 そんなモスキートとのバトルが馬鹿馬鹿しいのである。 さっさと眠って夢の世界を楽しみたいのである。 多少の害よりは健やかな眠りを優先したいのだ。 そんなわけでノーマットさん今夜も宜しく。 【サックスとfujiborn】 同じ箇所を何度も間違えながらの練習は、同じ箇所を確実に間違える練習をするのと同じです サウンドトレジャー http://93.xmbs.jp/st0925inoue/ |