■バックナンバー
■外部ブログリンク
■RSSフィード
RSS 1.0 RSS 2.0 Atom 1.0
■このブログのURL
http://onomichi-sns.jp/blog/blog.php?com_mode=1&key=36172
2013年11月29日(金) 

 ひとは心の目指すところに向かって生きているのだ、と思うようになった。心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはない。

                                (本書P352より)

 

 

『蜩の記』(葉室麟・著/祥伝社文庫)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


手許に置きたい一冊。日本人の心をふるわす傑作時代小説! 
第一四六回直木賞受賞作、待望の文庫化! 
命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか?
豊後羽根藩の檀野庄三郎は不始末を犯し、家老により、切腹と引き替えに向山村に幽閉中の元郡奉行戸田秋谷の元へ遣わされる。秋谷は七年前、前藩主の側室との密通の廉で家譜編纂と十年後の切腹を命じられていた。編纂補助と監視、密通事件の真相探求が課された庄三郎。だが、秋谷の清廉さに触れるうち、無実を信じるようになり……。凛烈たる覚悟と矜持を描く感涙の時代小説! 

映画化決定! 2014年全国東宝系ロードショー
監督/小泉堯史(「雨あがる」「博士の愛した数式」)
出演/役所広司 岡田准一 堀北真希 原田美枝子


 

 

 

十年後の八月八日を切腹する日と期限を切って家譜編纂を命ぜられた戸田秋谷の至った境地に感銘を受けた。いつかやってくる死ではなく、その日には必ず死なねばならないと覚悟したとき、秋谷には常人につきまとう迷いが無くなったのではないか。常住死身の境地、まさに武士道とは死ぬことと見つけたりである。いくら命があっても志が無ければ、それはただ生きているだけの抜け殻である。またその生き方に矜持が無ければ美しくない。物語とは云え、一人の武士(もののふ)の生き方に心が震えた。

直木賞授賞に異議ありません。文句なしの名著です。

 

 

 

 

 

 


閲覧数1,346 カテゴリ読んだ本 コメント2 投稿日時2013/11/29 04:57
公開範囲外部公開
コメント(2)
時系列表示返信表示日付順
  • 2013/11/29 07:24
    十年後のその日に死ななければならないと言うことは、その日まで、それを抱えて生き抜かなければならないと言うことですね
    相当な使命感と精神力が要りますね
    現代ではまず不可能な気がします。
    次項有
  • 2013/11/29 08:19
    > ももたろうさん

    死ぬことによって守ろうとしたものが美しくも切ないのです。未だ物語の余韻に浸っています。
    次項有
  • 次項有コメントを送信
    閉じる
    名前 E-Mail
    URL:
■プロフィール
ウェルズさん
[一言]
ハードボイルド好きのチキンハート男
■この日はどんな日
ほかの[ 11月29日 ]のブログは、
■最近のファイル
■最近のコメント
■最近の書き込み