『火星年代記(新版)』(レイ・ブラッドベリ:著,小笠原豊樹:訳/ハヤカワ文庫SF)を読了。 まずは出版者の紹介文を引きます。 火星への最初の探検隊は一人も帰還しなかった。火星人が探検隊を、彼らなりのやりかたでもてなしたからだ。つづく二度の探検隊も同じ運命をたどる。それでも人類は怒涛のように火星へと押し寄せた。やがて火星には地球人の町がつぎつぎに建設され、いっぽう火星人は…幻想の魔術師が、火星を舞台にオムニバス短篇で抒情豊かに謳いあげたSF史上に燦然と輝く永遠の記念碑。著者の序文と2短篇を新たに加えた新版登場。 これはまさにアメリカ移民の子孫たるブラッドベリの原罪意識が書かせた小説ではないか。西欧人によるアメリカ大陸の征服あるいは入植で原住民の居住地と財産を奪い、殺戮し、免疫のない伝染病に罹らせてしまったといった罪の意識である。あるいは植民地政策によって繁栄している国の罪の意識でもあるだろう。その意味で『アメリカ年代記』といって差し支えないと思われる。「月は今でも明るいが」に登場するスペンダーに共感を覚えた。 読み終えた後、久しぶりにRocket Man(Elton John)と Cortez the Killer(Neil Young)を聴きました。 |