書痴って言葉、初めて知りました
昔はそうだったも(笑)
『古書ミステリー倶楽部』(ミステリー文学資料館:編/光文社文庫)を読みました。 「本好き」という人種は多少の異常性を己の中に持つ。いわゆる「書痴」というやつだ。ましてそれが「古書好き」ともなれば、そのことに疑問の余地はない。 プチ書痴の性癖がある私にとって最も恐ろしい話は梶山季之氏の「水無月十三么九」。私はこの短編を『せどり男爵数奇譚』で読んだことがあるのだが、そのおぞましさは他の小説に類を見ないほどのものだ。このまま本を好きになっていっていいのかと不安になるほどである。 「二冊の同じ本」 さすがは松本清張。ううんっ文句なし! と唸りました。 戸坂康二氏の「はんにん」私の大好きなタイプの話です。 早見裕司氏の「終夜図書館」は逆に大嫌いです。私が大嫌いな小説はさほどありませんが、これは読むに堪えません。逆に最もうれしかったのは野呂邦暢氏の「若い沙漠」の中で安西均氏の「雨」という詩に接したこと。 『雨』 ぼくはふと街の片ほとりで逢うた 雨のなかを洋傘(かさ)もささずに立ちつくしてゐる ポオル・マリィ・ヴェルレエヌ 仏蘭西(フランス)の古い都にふる雨はひとりの詩人の目を濡らし ひとりの詩人の涙は世界中を濡らす どうやらその雨はぼくがたどりついたばかりの若い沙漠をも 少し。
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