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2012年02月05日(日) 

「おりょう様、赤目小籐次も男子にございます。豹変しておりょう様を襲う心得違いを致すともかぎりませぬ」
 困惑の体で答える小籐次に、目元をほんのりと酒の酔いで染めたおりょうが、

「赤目様、そのお言葉、私の胸を熱く燃え滾(たぎ)らせます。
「はっ」
 と小籐次がおりょうの顔を見て、慌てて視線を逸らし、
「おりょう様、赤目小籐次をおいたぶりにございますか」
「いたぶりなど致しませぬ。至って正直に心の内を吐露しております」
「分からぬ」
 と小籐次が呟き、
「それがし、耳までおかしゅうなったか」
「私の言葉が届きませぬか」
「夢を見ているようで、よう分からぬ」
 ほっほっほ、とおりょうが笑い声をあげた。
                                    (本書P98より)

     

 

 

『偽小籐次』(佐伯泰英/著・幻冬舎文庫)を読みました。


裏表紙の紹介文を引きます。


 

町年寄の突然の自害、米会所の急なお取り潰し―。久慈屋の掛取りに従った小籐次が観右衛門から聞かされた騒動の背景は、事がそれだけでは収まらない気配を見せていた。折しも市中に小籐次の名を騙り、法外な値で研ぎ仕事をする男が出現。素性を探るため、小籐次は東奔西走するが、予想外の事態に突き当たる。超人気シリーズ、第十一弾。



ついに十六、七年もの間、想いを寄せたただ一人の女(ひと)、おりょう様と……。これは夢じゃ、夢にございますな。夢なら醒めんでくれ。あぁ……ついに……

 


閲覧数750 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2012/02/05 10:08
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