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2012年06月26日(火) 

里志のモットーで俺が知っているのは二つ、一つは「ジョークは即興に限る、禍根を残せば嘘になる」だが、もう一つは「データベースは結論を出せない」だ。

                            (本書P154より)

 

『愚者のエンドロール Why didn't she ask EBA?』 (米澤穂信・著/角川文庫)を読みました。『氷菓』につづく<古典部>シリーズの第二弾である。人の死なない日常のミステリはなかなか良いです。<円紫さんと私>シリーズ、東京バンドワゴン・シリーズ、ビブリオ古書堂の事件手帖シリーズと最近は古書ものにからめて日常のミステリを読んできた。すっかりはまってしまった感がある。

 

 

 

 写真を視てのとおり、前作につづき今作にも特大アニメキャラ帯がついている。右側の本来の表紙は地味に学校の教室を写した写真だが、左の特大帯はオジサンが買うにはちと戸惑いがある代物である。通常の帯ではなく、カバーそのものと見紛うばかりの特大版にしたところに角川の商魂、販売至上主義が垣間見える。現にそれで売れに売れまくっているのだから、私が如何に異議を唱えようと誰も耳を貸してはくれないのだ。この帯にめげずオジサンがこの本を買おうとレジに並ぶとき、そのオジサンは十中八九、他の本二冊(例えば小林秀雄や吉本隆明の本)でこれを挟み込んでいるに違いないのだ。もちろん、この表紙を他人の好奇な目から隠すためである。涙ぐましいではないか。それほどにまでしてこの本を手に入れたいのか? 読みたいのか? と問われれば、私はコクリと肯くしかない。それほどに米澤穂信氏の日常のミステリはイイ。

 今回は神山高校二年F組が文化祭に出展する自主制作ミステリ映画の謎をめぐる話。アントニー・バークリーの『毒入りチョコレート事件』へのオマージュともいえる作品。ミステリ好きにはたまらんでしょう。事情通はウイスキー・ボンボンが出てきた時点でニンマリしたはず。その他に「黄色い背表紙」とか、「叙述トリックはドイルの時代には存在しない」とか、「シャーロッキアン」とか、アガサ・クリスティーの「Why Didn't They Ask Evans?」をもじったサブ・タイトルなど、ミステリ・オタクにとって楽しみどころ満載といったところ。米澤氏のミステリに対する思い入れというか、リスペクトがひしひしと伝わってきます。

 それにしても第一作『氷菓』のあとがきにあった謎がまだ解けていません。いずれ、シリーズを読み続けていけば答えを教えてもらえるのでしょう。米澤さん、もったいつけてくれるなー。(笑)

 

裏表紙の紹介文を引きます。


「わたし、気になります」

文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。


 

 


閲覧数1,449 カテゴリ読んだ本 コメント0 投稿日時2012/06/26 22:48
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