「サンディーはたった一人の妹よ。愛してるぜ。おいらはねカンダさん、そりゃあ情けない兄貴なんだ。親の期待にも応えられない、大した稼ぎもない、警察を首になって私立探偵をやってどこぞの馬鹿者たちの浮気調査をやって金を稼いでいる小者よ。でもねカンダさん。おいらはね、サンディが、妹が幸せになるために、おいらにできることがあるんなら、悪魔にだって魂を売る覚悟があるってもんよ」 (本書P219より)
『探偵ザンティピーの休暇』(小路幸也・著/幻冬舎文庫)を読みました。フーテンの寅さんのメンタリティーを持ったアメリカはニューヨークの私立探偵が主人公のミステリです。
まずは出版社の紹介文を引きます。 マンハッタンに住むザンティピーは数カ国語を操る名探偵。彼のもとに、日本人と結婚した妹・サンディから「会いに来て欲しい」と電話があった。嫁ぎ先の北海道の旅館で若女将になった妹の言葉を不審に思いながら、日本に向かった彼が目にしたのは、10年ぶりに目にする妹の姿と人骨だった―!謎と爽快感が疾走する痛快ミステリ。書き下ろし。
探偵ものといっても小路幸也氏らしい小説でした。全体をとおして家族とか地縁のあたたかい雰囲気が感じられる小説。ただ、なにかしら物足りないのは謎の真相が思ったほどではないからか? あるいは登場人物に悪人がいないからか? でもそれが小路テイスト。小説世界に一緒にいたいと思うのは私だけではないだろう。シリーズ第二弾に期待。続きを読みます。
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