『変見自在 プーチンよ、悪(ワル)は米国に学べ』(髙山正之:著/新潮社)を読了。 「週刊新潮」連載の辛口おもしろコラム傑作選第9弾。最新刊である。 相変わらず小気味いいコラムである。世間に尤もらしく流布される話がいかにいい加減で当を得ないものかがよくわかる。私は三朝温泉を名湯だと思うし、将来、湯治に使う可能性もあると思っている。泉質の良い源泉のものなら薬代わりに飲みたいぐらいのものだ。三朝温泉につかると年換算1.2mSvもの放射線を浴びてしまうと知っても気にしない。だって三朝温泉が身体に良いことは経験的に証明されているのだから。原発事故以来問題とされる福島よりヨーロッパの方が概ね自然被曝量が高いことを考えても気にすることは無いと思っている。にもかかわらず、マスコミは過剰に報道し、似非文化人がそれに乗っかり変な世論を形成していく。ことほど左様に世界はウソとデマで溢れかえっている。 デマを流してでも自国を有利に導こうとするのはどこの国も同じだろう。しかしその悪辣さの程度において、大航海時代から近代に至るまで世界各地を植民地とし搾取してきた欧州諸国、他人の土地にずかずか移植し原住民を殺しまくったあげく開拓に黒人奴隷を使って開拓した米国は非難されて然るべきだろう。 しかし悪(ワル)は奸知と情報操作能力において驚くべき力を発揮している。悔しいことにたとえウソでも多くの人にそのウソを信じ込ませることが出来ればば、いつの間にかウソも事実として歴史に刻まれていく。気をつけよう。「正義」と信じ込まされていることが本当のことかどうかを。本当の悪(ワル)はデマを巧みに使って「悪玉」を仕立てあげるのが得意だ。西部劇では「インディアン」を悪者にし(後に「メキシカン」を悪者にするマカロニ・ウエスタンを生み出す離れ業をやってのける)、第二次世界大戦では「ドイツ」と「日本」を一方的に悪者にし、冷戦時代は「ソ連」を悪者にし、今は「イスラム」を悪者に仕立てあげる。その手法は一部の事実を巧みに演繹することで相手のすべてを「悪」と決めつけるという悪辣な情報操作である。まさに民衆を扇動するマスコミが得意とする手法と同じである。 |