『花筏 谷崎潤一郎・松子 たゆたう記』(鳥越碧:著/講談社文庫)を読みました。 出版社の紹介文を引きます。 愛、芸術、生。谷崎と狂おしく。 文豪・谷崎潤一郎に愛され、世間の羨望の的になった松子。だが、谷崎の理想の女性であり続けようとしたその生涯はほんとうに幸せだったのだろうか? 愛と芸術の狭間の懊悩を描く長編小説 「私に取りましては芸術のためのあなた様ではなく、あなた様のための芸術でございます、もし幸ひに私の芸術が後世まで残るものならばそれはあな(た)様といふものを伝へるためと思召して下さいまし(中略)さればあな(た)様なしには私の今後の芸術は成り立ちませぬ、もしあなた様と芸術とが両立しなくなれば私は喜んで芸術の方を捨てゝしまひます」――<谷崎潤一郎書簡より> 人間ってのはつくづく怖い生き物だ。なかんずく女は怖い。くわばらくわばら。と、謂いつつ、谷崎をもう一度読み直してみようかと思う。私の中にも魔物が棲むのか・・・ |