『もの食う話』(文藝春秋編/文春文庫)を読みました。
出版社の紹介文を引きます。
鷗外、荷風、百閒、夢野久作、岡本かの子に、吉田健一、福田恆存、澁澤龍彦、筒井康隆、水木しげる……食にまつわる不安と喜び、恐怖と快楽を余すところなく描いた傑作の数々を収め、隠れた食のバイブルとして好事家たちの愛蔵書となった伝説のアンソロジーが、新装版で登場。新装版に際して、幻の名品を新たに収録。(解説 堀切直人)
「ものを食う」ということを考えた時、食欲と性欲は近いところにあると感じる。人はそのことに無関心ではいられない。しかしだからといって人に大っぴらにすることがためらわれる隠微な部分もある。食に対する考え方、態度でその人物が透けて見えるという怖さもある。内田百閒先生の食べたいもの目録に自分に近いものを発見してちょっと嬉しかった。森鴎外の「牛鍋」に女の怖さを見た。筒井康隆はやはりおもしろい。色川武大はやはりカッコイイ。永井龍男の「黒い御飯」が妙に気に入った。
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