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2011年06月11日(土) 

 手紙を書くときには、相手はまったくこちらに関心がない、という前提で書きはじめなければいけません。これがいちばん大切なところです。

 世の中を知る、ということは、他人は決して他人に深い関心を持ちえない、もし持ち得るとすれば自分の利害にからんだ時だけだ、というニガいニガい哲学を、腹の底からよく知ることです。

                                     (本書P217より)

 

 

 

 『三島由紀夫レター教室』(三島由紀夫/著・ちくま文庫)を読みました。最近、森見登美彦氏の『恋文の技術』を読んで、他の作家の書いた書簡体小説を読んでみようと考えた次第。本書と『十二人の手紙』(井上ひさし/著)を買いました。

 

裏表紙の紹介文を引きます。


職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。恋したりフラレたり、金を借りたり断わられたり、あざけり合ったり、憎み合ったりと、もつれた糸がこんがらかって…。山本容子のオシヤレな挿画を添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る枠な文例集。


 文例集として真似をして良いかと訊かれたら些か疑問と答えるだろう。しかし、だからといってこの小説に書かれた手紙が駄文だというわけではない。人に興味を持って読ませるという勘所をおさえているという点において名文揃いである。つまりこのような手紙は真似して書けるものではないということだ。三島氏は文才はもとよりユーモアのセンスもたっぷりお持ちのようだ。手紙だけで五人の登場人物の容姿、魅力、考え方、性格、嗜好などを鮮やかに浮かび上がらせるテクニックに感心しました。また「英文の手紙を書くコツ」を読むと三島氏の洞察力の鋭さに感心するコトしきりです。まことに素晴らしい一冊でした。良い本に出会えた幸運に感謝。

 


閲覧数988 カテゴリ日記 コメント0 投稿日時2011/06/11 02:03
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