毒がまわっている人の特徴は、何でもやりすぎるということです。 (本書P33「善悪二元論の限界」より)
『真贋』(吉本隆明・著/講談社文庫)を読みました。本屋に平積みしてあったのですが、目にとまったのは本の帯に書いてあった次の一言。著者のお嬢さんにして作家のよしもとばなな氏の言葉です。
「自分の親の本だということを忘れてのめりこんだ。 この一言が目にとまらなかったら、この本を買うことはなかっただろう。私は吉本隆明氏が決して嫌いではない。むしろ尊敬している。しかし、氏の本を読むには気力が充実していることが必要だ。有り体に言ってしまうと難しいのだ。私が好んで読むミステリーやファンタジーのようなわけにはいかない。普通なら手にしないところ、『真贋』というインパクトのある題名とばななさんの一言が気を惹いた。
最後に裏表紙の紹介文を引きます。 「小説や詩を読むことで心が豊かになると妄信的に信じている人がいたら、ちょっと危いと思います。世の中の『当たり前』ほど、あてにならないものはありません」――今こそ「考えること」に真剣に向き合ってみませんか。突き詰めた思考の果てにうまれた、氏の軽妙かつ深遠な語りにどうぞ耳を傾けてください。
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