『へうげもの』ってどんな漫画? と聞かれたら、私はこう答える。
「激しい愛が、いかにしてものの価値や人々の美意識を変えていったかを描いた作品だよ」
(三浦しをん氏の「解説」より)
『へうげもの 五服』(山田芳裕・作/講談社文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。 統一事業完遂を目指し、関東の雄・北条討伐を企てる天下人秀吉。新たな大戦を控えた織部は、未曾有の国産染付茶碗を得て、数奇界制覇を高らかに謳う。だが、対立を深める秀吉に愛弟子・山上宗二(やまのうえそうじ)を惨死させられた利休の憤怒は爆発! 両雄並び立たず、華とわびの世は終わるのか。各界絶賛の大河漫画、文庫化第5弾。
真のわび数寄を追求する利休。しかし求めるものが崇高すぎてかえって窮屈か。利休の高弟・山上宗二は秀吉の怒りを買い打ち首に。いよいよ秀吉と利休に埋まることのない溝が。三成はいよいよ忍城を水攻めに。そんな中、古田織部は剽げつつ美意識を昇華させ、わび数寄を極めようとする。物語はいよいよクライマックスを迎える予感。それにしても、石田三成を格好悪く描きすぎです、山田さん。三成にももっと華をお願いします。三浦しをんさんの解説には唸った。へうげものの描く世界が「ひとはパンのみにて生きるにあらず」だと看破する鋭さに感服。
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