そのとき、平太は一線の馬群を割って飛び出したゼッケンを見て、息を呑んだ。ものすごい末脚である。 唖然としてウイニングランを眺めていると、ぽんぽんと、三橋が平太の肩を叩いた。 「どんな駄馬でも、たまには勝つこともある。それが人生というものだよ、平太。だからおもしろいんじやないか」 そういうと、三橋は来賓室を出て行った。 (本書P210より)
『鉄の骨』(池井戸潤・著/講談社文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。 会社がヤバい。彼女とヤバい。
「正義」とは何か? それはその者がいる環境、立場、その時の状況、抱える事情によって異なる。「正義」などというものは、それを判断する人間の主観であって、時代によっても変わるほど危ういものだ。「ルールを守ること」=「正義」というのも一見正しいようだが、そのルールに欠陥があれば、或いは不公平があれば必ずしも正しいとは言えない。そう言いながら「欠陥」とはなにか、「不公平」とはなにかを考えていくと、これまたそれを判断する者の主観といわざるを得ない。なんだかどんどん判らなくなる。単純に正義を語っていた若かった頃が恥ずかしくも懐かしい。
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