---下がり眉 澪のことをそう呼んでいたひとも、今はもう遠い。確実に時が流れ、甘やかな思い出も、斬られるような切なさかも、静かに引いていく。 橋の袂に立ち、澪はひとり、暮れなずむ天を振り仰いだ。 (本書P96より抜粋)
『天の梯 みをつくし料理帖』(高田郁・著/ハルキ文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。 『食は、人の天なり』――医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。どのような料理人を目指し、どんな料理を作り続けることを願うのか。澪の心星は揺らぐことなく頭上に瞬いていた。その一方で、吉原のあさひ太夫こと幼馴染みの野江の身請けについて懊悩する日々。四千両を捻出し、野江を身請けすることは叶うのか! ? 厚い雲を抜け、仰ぎ見る蒼天の美しさとは! ?「みをつくし料理帖」シリーズ、堂々の完結。
本当に終わってしまったのだなぁ・・・ 五年間、計10刊プラス1。旭日昇天、雲外蒼天の二人の人生がどうなるのかを見極めたくて、二人の幸せを心から願いながら読み続けた。とうとう完結の時が来た。否。二人の人生はここから新しく始まったのではないか? そのあたり、高田さんは「それぞれのその後を一冊にまとめて、特別刊として刊行させて頂く」と仰っている。ひとまずは”So long!”と言っておきますが、そんなに長く待たせないで欲しいが、”It's been such a long time.”と言える日を首を長くして待ちましょう。
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