深川の駅弁好きだったな。
ごめん
『さらば深川』(宇江佐真理・著/文春文庫)を読みました。
出版社の紹介文を引きます。
「この先、何が起ころうと、それはわっちが決めたこと、後悔はしませんのさ」―誤解とすれ違いを乗り越えて、伊三次と縒りを戻した深川芸者のお文。後添えにとの申し出を袖にされた材木商・伊勢屋忠兵衛の男の嫉妬が事件を招き、お文の家は炎上した。めぐりくる季節のなか、急展開の人気シリーズ第三弾。
「因果堀」が良かった。めったやたらと良かった。女に惚れるということ、惚れられるということがこれほど切なく描かれた小説を私は知らない。私が増蔵の立場ならどうしただろうか? つれ合いを、子供を捨てる決心がつくだろうか? 増蔵はどれほど悩んだのだろう、どれほど迷ったのだろう。おそらく、どちらにも決められなかったに違いない。どちらにも心が定まらないまま、心が傾いたのは「弱い方に寄り添ってやりたい」という気持ちだったのだなぁ。増蔵は自分を地獄に突き落とす覚悟で、自分が餓鬼畜生にも劣るものになり果てる覚悟を決めて動いたに違いない。
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