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2014年02月08日(土) 

 生涯を賭けた仕事が一瞬のうちに潰え去っていくのを見ながらも、彼は悲しみは感じなかった。彼は人類を星々へ到達させるために汗を流した。そして、まさにその成功のまぎわに、星が___冷ややかな、超然とした星が___逆に彼のほうへ降りてきたのだ。これこそ、歴史が息をひそめる一瞬であり、現在が過去から断ち切られる瞬間なのだった。あたかも、氷山がその凍りついた母なる大絶壁を離れて一人孤高を誇りつつ大海へ乗り出していくように・・・・・・。過去の世代が達成したことは、いまやすでに無にひとしい。ラインホールドの頭の中には、ただ一つの思いだけがくりかえしくりかえしこだましていた。

 人類はもはや孤独ではないのだ。

                                     (本書P18より)

 

 

『幼年期の終り』(アーサー・C・クラーク:著、福島正実:訳/早川文庫SF)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


 

異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新たな道を歩みはじめる人類の姿を描きあげた傑作!


 

 

 そこはかとなく漂う終末の予感。イメージとしての神の存在。圧倒的存在に征服される不快感。いや、「征服」というより「飼育」といったほうが適切か。さまざまなことを考えさせられる小説です。読み終えるのにかなりの時間を要しました。

 不完全さこそが人間を人間たらしめているのか。あるいは死が・・・。「全面突破(トータル・ブレイクスルー」を経験した子供は、もはや神の領域の存在なのか。判らないことばかりです。ひとつだけはっきりと確信したことがある。人にとって「飼育されて幸せであると云うことはありえない」と云うこと。

 

 

 

 


閲覧数731 カテゴリ読んだ本 コメント0 投稿日時2014/02/08 14:35
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