『おとうと』(DVD)を観ました。 今月の初めに『昭和の女優 今も愛される美神たち』(伊良子序・著/PHP研究所)を読み、そして今週は原作となった幸田文さんの小説を読んだのをきっかけに観たものです。 主演の岸恵子(姉・げん役)はともかくとして、川口浩(弟・碧郎役)はいただけません。岸恵子の存在感に対し、吹けば飛ぶような軽さです。姉・げんを「ネー公」と呼ぶのもいかがなものか。小説では「ねえさん」と呼んでいるのに。脚本を担当した水木洋子氏の仕業なのでしょうか。親愛の情を示したつもりでしょうが、「公」は軽い軽蔑のニュアンスも感じさせる言葉だけに、なぜわざわざこんな言葉を使わせたのか理解に苦しみます。 銀残しといわれる手法での独特の映像美が取り沙汰されるが、なるほどなるほどと云う感じ。ちなみに、1976年の山根成之監督によるリメイクではげんを浅芽陽子が、碧郎を郷ひろみが演じているらしい。浅茅陽子さんは大好きな女優さんだが、郷ひろみとはねえ。これを観ることはありません。絶対に。(笑)
1960年11月1日公開 監督 市川崑 |