『空洞化のウソ――日本企業の「現地化」戦略』 (松島大輔・著／講談社現代新書)を読みました。

著者・松島大輔氏は経済産業省入省後、インドやタイなどで日本企業の水先案内人をつとめていらっしゃる方だ。現在は経済産業省から出向でタイ王国政策顧問という立場にある。日本企業の海外現地化による空洞化議論のウソをきちんとした根拠を基にわかりやすく解説してある。

空洞化議論のウソとは、要するに「「企業の海外進出」＝「国内産業の空洞化」という形でマスコミ等に流布される議論は一見正しいように聞こえるが実は間違っているということ。事実、海外売上高比率の高い企業が国内の設備投資にも積極的であり、海外進出している企業の方が国内の雇用も拡大しているという現実がある。

新興アジアには今後大きな伸びしろがある。日本企業の海外進出による国内空洞化よりむしろ海外進出しないことによる日本の未来の空洞化（不作為のリスク）こそが問題である。日本は「貿易立国」から「投資立国」として新興アジアを中心とした海外への生産拠点拡大、海外資産拡大を目指すべきだとする意見に納得。

今日は姫路市内で著者のご講演を聴きました。ご講演の前に一時間近く座談会で直接お話をさせていただく機会も頂いてたいへん感激しました。新興アジアのダイナミズムを目の当たりにし肌で感じてこられた著者ならではの熱い思いがひしひしと伝わってくる濃密な時間でした。今後のビジネス展開でひょっとしたら・・・・・・と夢の広がる良い一日になりました。感謝。