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2014年12月23日(火) 
『紙の月』(角田光代:著/ハルキ文庫)を読みました。
 
 
 墜ちてしまう危険はその人のすぐ側に、まるでその人に寄り添うようにあるのだろう。すぐ側にはあるが、人はそちら側に足を踏み入れてはならないことを本能的に知っており、普通は道を踏み外すことはない。しかしわざわざそちらに足を踏み入れてしまう人がいる。将来より刹那を選んでしまうのか、あるいは自分を破壊することでしか自分の存在を確認できないのか、それはわからない。そのような行為でしか満足を得られないのだろうか。それで本当に満たされることなどありはしないというのに。
 本書を読んでいて、佐藤正午氏の『身の上話』を読んだときと同じ気分を味わっていました。どちらも怖い小説です。ことごとくしてはならない選択をしてしまう主人公。しかし、主人公にはその選択肢しかなかったような錯覚を読者に与えるのは、著者・角田光代氏の力量でしょう。すごい。
最後に出版社の紹介文を引いておきます。

ただ好きで、ただ会いたいだけだった―――わかば銀行の支店から一億円が横領された。容疑者は、梅澤梨花四十一歳。二十五歳で結婚し専業主婦になったが、子どもには恵まれず、銀行でパート勤めを始めた。真面目な働きぶりで契約社員になった梨花。そんなある日、顧客の孫である大学生の光太に出会うのだった・・・・・・。あまりにもスリリングで、狂おしいまでに切実な、傑作長篇小説。各紙誌でも大絶賛された、第二十五回柴田錬三郎賞受賞作、待望の文庫化。
 

 

閲覧数1,488 カテゴリ読んだ本 コメント2 投稿日時2014/12/23 11:56
公開範囲外部公開
コメント(2)
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  • 2014/12/23 21:05
    崖道をひたすら歩き続けてるのが人生なんですかねぇ
    高所恐怖症なもので、想像すると身震いしました
    次項有
  • 2014/12/25 00:49
    > ももたろうさん

    だれにでも道を踏み外す危険がある、そんなふうに身につまされる話でした。
    次項有
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