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2014年06月04日(水) 
第一九話「喜びのお裾分けが育む共創社会」

人間は飽きっぽく、ネットワークは閉鎖的、排他的になりがちなもの。多くのSNSサイトは設置半年か1年でピークを迎え、長くても2~3年くらいで勢いを失う。オープンな地域社会とどのように接続するかは運営側の大きな課題であり、クーポンシステムにおいても同様だ。ここには「ほどよく閉じたネットワーク」「ネットワークを超えた橋渡し」「喜びのお裾分け」という3つのキーワードが存在する。

一般的にネットワークは、グローバルで開放的な方が良いと考えられてきたが、それ故にトラブルや事故が続発し、昨今は信頼できるネットワークの存在が注目されてきた。「ほどよく閉じたネットワーク」とは、内部的には閉じた安全な空間を保ちながら、外部からは敷居の高さを感じさせることのない運用を意味する。巨大なひとつのネットワークでは実現できないモデルなので、自ずからネットワークの規模は限定されることとなる。

「橋渡し」とは、人と人、人とネットワーク、ネットワークとネットワークの架け橋となるブリッジのこと。だれでもできることではないが、アイデアソンの場を共にした人なら、ほぼ全員が得意とする技術である。多くの人たちがネットワーク内部のブリッジングを優先して行っているが、ネットワーク外部に意識を置くことによって、多様な人々の参加を促すことができる。信頼できる小さなネットワーク同士をつなぎ、安心ななかでスケールメリットを作るキーパーソンとなる。

ネットワークへの帰属意識は、上下関係や損得感情などという世俗的な関係を超えた「感動」「共感」「共鳴」という感性的体験で育まれる。人間は利己的だと思われているが本質的には他人のために尽くすことで喜びを得る「利他的」な存在だ。だれもがこの「喜び」を自分だけのものとせず積極的に「お裾分け」することで「喜びの恩送り社会」が出現する。善意の循環は自然な形で、さまざまな人々が価値観や意見を交え新たな価値を創造する「共創社会」を育んでいく。

「つまり、ひょこむだけではなくOpenSNPの仲間のサイトだとどこでも導入が可能なんですね」と岡本が質問すると「できるだけたくさんの仲間がこのコンセプトを理解してくれてそれぞれの地域に実装してもらえるのが理想です。そしてこれらを接続することで利用者は日本各地のクーポンが購入可能となり、店舗は全国に商品を販売することができます。例えば、館山に旅行にいくときには、石井(博臣)さんが紹介してくれているこのお店で食事をしようとか、龍野の揖保の糸を田舎の母に送りたいんだけど、商工会議所の坂井(政彦)さんが「いいよ」ってコメントしているお店に頼んでみようとか、竹富町役場の高田(俊誠)さんが実家のマンゴー園で採れた超美味しい「わけあり完熟マンゴー」を送ってくれるみたいだから、友達の分までまとめてクーポン買って配ろう、のように商品とSNS仲間が紐付けされた信頼と喜びのお裾分けが見える化されることになるのです」。

「どんどんお裾分けを拡げていけばいいんですね。でも、買い物ができるのがSNSメンバーに限定されるといけないのでは?」という土生の問いには「クーポンのサイトは独立していてPCやスマホから自由にアクセスできるようになるので、SNSメンバーでなくても購入可能です。ただし出品するには店舗登録を行う必要があり、必ずSNSメンバーの推薦者が必要になります」と和崎は答えた。「四方一両徳って具体的にはどうするの?」と直美が聞くと「利用者は少しお安く利用ができる、SNS運営者にはクーポンシステムの運営料が、推薦者には数パーセントのアフィリエイトが入る、店舗にはこれにシステム利用料と少額決済料を差し引いた金額が売り上げとして振り込まれるという流れになります」。「いいお店を紹介していい商品を出してもらえると、推薦者にも『チャリン♪』ってお小遣いがはいるのね~。燃えてきました!」。藤田は既にその気になっていた。

「クーポンを登録したい店舗は、SNSメンバーの推薦がないとクーポンを発行できない。推薦したメンバーは店舗の売り出す商品について共同責任を持つくらいの位置づけで、中途半端な関係ではいけないというだね。これはSNSの「後見」制と同じ考え方だな」と畑井が関係性をまとめた。「シェ・マエサト」の政夫と泰子から全権委任されている大学生のさと子が「うちのお父さんとお母さんはひょこむに入っていないんですがどうしたらいいですか?」と訊ねたので、清水が「おふたりとも入ってもらって、レストランの推薦はメンバーのさと子ちゃんがやったらいいでしょう。困ったことや解らないことがあったら、みんなで助けてあげるから」。こいつ、若い女性にはことの他優しい。気をつけた方がよさそうだ(笑)。「私が推薦すると私にチャリンって入ってくるの?」とさと子が遠慮気味につぶやくと、柳川と松岡が口を揃えて「それは奨学金や。図書館で手に入らない大切な本を買う資金にすればいい」。大学生が推薦者になった場合、売り上げの一部が学業を助ける支援に直結することになるとこの一言で気がついた。

つづく

この物語は、すべてフィクションです。同姓同名の登場人物がいても、本人に問い合わせはしないでください(笑)

閲覧数827 カテゴリ日記 コメント1 投稿日時2014/06/04 03:47
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