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2014年04月26日(土) 

そして、天皇の寵愛をめぐる定子や彰子の諍いは、『枕草子jや『源氏物語』を生みだしもした。清少納言は没落していく中関白家の美を称え、紫式部は栄華を誇る道長のまわりで悲哀に沈む女たちを愛おしんだ。
勝者がすべてではない。敗者の悲しみやせつなさの中にこそ美しさは発露される。勝者の凱歌ではなく敗者の悲歌に心動かされることこそが雅なのではないか。
隆家にはそう思えてならなかった。この国には敗者を美しく称える雅の心がある。だからこそ、この国を守りたいと思う。この国が亡びれば雅もまた亡びる。

                                                 (本書P349より)

 

 

『刀伊入寇 藤原隆家の闘い 』(葉室麟・著/実業之日本社文庫)を読みました。

 

まずは出版社の紹介文を引きます。


日本国存亡の危機に真の英雄現わる! 
かつてなき国難に立ち向かった実在の貴族の闘い! 

時は平安中期、朝廷きっての貴公子でありながら、「さがな者」(荒くれ者)と呼ばれた
藤原隆家は、花山法皇や藤原道長らとの「闘乱」(喧嘩)に明け暮れる日々を送っていた。
その頃、陰陽師安倍晴明は彼にこう告げた。「あなた様が勝たねば、この国は亡びます」。
道長との政争に破れ、自ら望んで任官した九州大宰府の地で、隆家は、
海を越えて壱岐対馬を蹂躙し、博多への上陸を目論む異民族「刀伊」の襲来を迎え撃つ! 

清少納言、紫式部らとも交流し、京の雅の世界にも通じつつ、かつてなき未曾有の国難に
立ち向かった実在の貴族の奮闘を、豊かな想像力をからめ織り上げた、
雄渾にして絢爛たる平安戦記エンターテインメントです! 

【目次】
■第一部 龍虎闘乱篇
■第二部 風雲波濤篇

 

■解説 縄田一男

 


 

 

 

 さがな者として名を馳せた藤原隆家。その「こころたましひ」が政敵・藤原道長ではなく、外敵・刀伊に向かうように変ずるさまは、人として練れ大成する過程そのものだろう。美しく滅びてゆくものに「雅」を見いだすことこそ、真に強い者だけが持ちうる心境だろう。この国には敗者を美しく称える雅の心がある。この国が亡びれば雅もまた亡びる。だからこそこの国を護りたい。雅やかな美しい心を護りたい。一千年前も今も日本の心は変わらない。

 

 


閲覧数629 カテゴリ読んだ本 コメント0 投稿日時2014/04/26 09:00
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