『神様のカルテ 3』(夏川草介・著/小学館文庫)を読みました。
まずは出版社の紹介文を引きます。
「私、栗原君には失望したのよ。ちょっとフットワークが軽くて、ちょっと内視鏡がうまいだけの、どこにでもいる偽善者タイプの医者じゃない」内科医・栗原一止が三十歳になったところで、信州松本平にある「二十四時間、三百六十五日対応」の本庄病院が、患者であふれかえっている現実に変わりはない。夏、新任でやってきた小幡先生は経験も腕も確かで研究熱心、かつ医療への覚悟が違う。懸命でありさえすれば万事うまくいくのだと思い込んでいた一止の胸に、小幡先生の言葉の刃が突き刺さる。映画もメガヒットの大ベストセラー、第一部完結編。
このシリーズを読むとき、私の頭に鉄幹の「人を恋うる歌」が思い浮かぶ。「妻をめとらば才たけて みめ美わしく情ある 友を選ばば書を読みて 六分の侠気四分の熱 恋の命をたずぬれば 名を惜しむかな男ゆえ 友の情けをたずぬれば 義のあるところ火をも踏む 汲めや美酒うたひめに 乙女の知らぬ意気地あり 簿記の筆とる若者に まことの男君を見る」 賢く麗しい情愛あふれる妻に恵まれ、理想と情熱を抱く友に恵まれ、そのような人たちと美味い酒が飲めるならば、人生はこんなにも温かく素晴らしいものになるのだと。人生、斯くありたい。 それにしても、この本を読むと酒が飲みたくなる。本書に登場する酒は『信濃鶴』、『福源』、『かたの桜』。『信濃鶴』は以前からよく飲んでいる。『福源』は飲んだことが無いので早速取り寄せました。『かたの桜』は今週末に届く予定。
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