『サンタクロースのせいにしよう』(若竹七海・著/集英社文庫)を読みました。 まずは出版社の紹介文を引きます。 一戸建てを二人でシェア、料理さえ作れば家賃はタダ。そんなおいしい話を見逃す手はない―。というわけで、気はいいけれど変わり者のお嬢様・銀子さんの家に居候することになった私。しかし、引っ越し早々、幽霊は出るわ、ゴミ捨て場の死体騒動に巻き込まれるわ…なぜかトラブルが続発。郊外の平凡な住宅地を舞台に、愛すべき、ちょっと奇妙な隣人たちが起こす事件を描くミステリ短編集。 「日常のミステリ」分野の名著との評価を目にして読んでみた一冊である。登場人物が魅力的で会話が軽妙、しかも知的ときている。いいですよ、ホント、なかなかいい。主人公の柊子、そして柊子と一戸建てをシェアしている銀子、はたまた二人の共通の友人である夏見、この三人の愛すべきキャラクターがいつの間にか好きになっていた。ずっと彼女たち物語を読んでいたい気分だ。私にとってこういう小説を読んでいる時間こそが「日常」。人から見ればムダな時間かもしれない。しかし、何気ないムダを愉しむことこそ贅沢というものだ。悪くない。
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