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2014年02月19日(水) 
関東甲信と東北を襲った14日の記録的な豪雪から4日目、山梨県内では新たに判明した地区もあり、少なくとも4千人が孤立している状態が続いています。防衛省によると、山梨県への自衛隊の支援態勢を約300人から約800人に増やし、重機の入りにくい孤立地区では手作業での除雪や小型の重機を活用、搬送用のヘリも7機から14機に増やして救援を急いでいます。孤立した集落の住民のみなさんの状況が大変心配されるところです。

今更ながら「共助が大切」としたり顔で語る有識者もありますが、山梨には古くから「無尽」と呼ばれる結縁ネットワークがあり、近隣住民との交流の少ない都会とは異なり、普段から助け合っている人たちが協力して、それぞれこの難局を乗り越えようとしているのではないかと推察しています。
http://news.mynavi.jp/news/2013/04/14/027/

「無尽」とは月1回程度、特定のメンバーで集まって食事や飲み会をすること。そして、その時に食事代とは別にお金を出し合って積み立て、メンバーが順番に使ったり、グループの目的のために役立てたりします。おそらく以前は頼母子講の一種だった「無尽講」が、簡略化されて「無尽」と呼ばれるようになったのでしょう。沖縄や長野、佐賀など一部を除いて他の地域ではほとんど消滅しつつある「講」のシステムですが、山梨県は昔から住民同士のつながりが強いので、このような独特の習慣が発展し現在も残っていると考えられます。

「無尽」は単なる飲み会とも言えますが、無尽によって楽しみが増えて充実した生活を送っているという人が多く、3つ以上の無尽に参加している人の健康寿命(寝たきりにならず健康に暮らせる寿命)は長いという研究結果もあります。人とのつながりが薄れがちな高齢者が無尽に参加することによって、生活に張り合いが出るという人が多いのは、これを裏付けています。

今回の豪雪災害において、山梨の人たちは、地域的なつきあいとは別に複数のネットワークを地元に持っているので、塩竃市浦戸諸島の事例を初めとする東日本大震災で孤立した集落における共助の実態を取り上げるまでもなく、きっとしっかり助け合ってくれているものと信じて疑いません。
http://sicnpo.jp/saigai110311/imase-urado2012.pdf

現場が落ち着いたら、被災地でヒアリングをしてみたいものです。

※「無尽」の研究は、岡田真美子編著.2006,『地域をはぐくむネットワーク』「第3章 無尽と健康寿命」,昭和堂,pp.41-56に詳しいです。このパートは竹村・久戸瀬・松田・芦谷の兵庫県職員各氏の共同研究の成果です。

閲覧数1,309 カテゴリ日記 コメント1 投稿日時2014/02/19 09:14
公開範囲外部公開
コメント(1)
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  • 2014/02/21 00:39
    愛哲さんの本を読んだときに、日本人は助け合いの精神を遺伝的に備えているのではないかと感じました。
    大切にしたいと思います。
    次項有
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