国の復興支援策に「ICT地域のきずな再生・強化事業」という枠組みがあります。簡単に言うと福島の被災地の自治体が、避難住民とのきずなの維持や住民同士の一体感の醸成を図るために、行政情報の提供など情報通信環境を構築することを支援するというもの。ここまでは「なるほど~」なのだが、内訳を見てみると「鉄塔」「アンテナ」「局舎」「通信装置や設備」「ソフト開発」など、ほとんどが「電子ハコモノ」で、インフラを整備すればきずなが再生できるのかと疑問を感じざるを得ない。 また、「情報とは関係性の上を伝達されるもの」(坪田知己氏)で、単に物理的パスを通しただけでは本当のネットワークは動かないのに、被災地で頑張っている人たちや全国各地に散らばった避難者を現地で献身的にサポートしている人たちの目線をかれらも感じない。阪神淡路でもそうだったように、ハードウェアの復興をいそぐあまり、ヒューマンウェアの観点が見失われ、結果として関係性がズタズタとなって絆感が喪失し、共感や共鳴という情報の成果物が伝搬できなくなった。東北は..福島は、そうであってはならないし、絶対そうさせないようにしなくてはならない。 |