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明かりの届かない屋上の隅に行って空を見上げると、早くも月が沈みかけていた。 北の空に、北斗七星を探す。一年中見つけることが出来るので、『北の大時計』と呼ばれる道案内の星座。迷う旅人を、幾度となく救ってきたその輝き。 その光を見つめながら、私はコーヒーを飲む。静かに瞬き続ける星。漂うコーヒーの香り。頬に当たる冷たい空気。 ああ、今、この世界がすべてならいいのに。 (本書P54-55よ … [続きを読む] |
タカシ マサル 早よ ノートのことゆえ 病気になるど
マサル チエ このノート なんか分かるか
チエ ウチに関係ない
マサル 関係あるわい! これみんな チエの悪口やど!
チエ 悪口!! そ・・・それ
マサル ハ |
一月はアタリ月でした。良い小説、コミックに出会うことができました。森見登美彦氏の『ペンギン・ハイウェイ』、山本幸久氏の『幸福ロケット』は心温まる小説でした。重松清氏の『とんび』ではぼろぼろに泣きました。初めて読んだ森奈津子氏。『西城秀樹のおかげです』にはぶっ飛びました。すごい才能です。中に収められた短編「エロチカ79」を読んでからは「後生ですから・・・・」という言葉を聞くと劣情をもよおしてしまう体質に変えられてしまいました。どうしてくれるんだ、森さん。森さんといえば森薫氏の『乙嫁語り』の最新刊(5)が出ました。待ちに待ってい … [続きを読む] |
「サンディーはたった一人の妹よ。愛してるぜ。おいらはねカンダさん、そりゃあ情けない兄貴なんだ。親の期待にも応えられない、大した稼ぎもない、警察を首になって私立探偵をやってどこぞの馬鹿者たちの浮気調査をやって金を稼いでいる小者よ。でもねカンダさん。おいらはね、サンディが、妹が幸せになるために、おいらにできることがあるんなら、悪魔にだって魂を売る覚悟があるってもんよ」 (本書P219より)
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「おまえは愛というものを知らないんだ」 「愛? 愛なら、わたくし、存じておりますわ」 「そういう性欲を伴う愛じゃないっ。その人を愛しいって思う、ただそれだけのシンプルな愛だっ。それをおまえは知っているのかっ?」 しかし、そんな愛を知っているかどうかという点では、時子自身も怪しいものだった。 「わたくし、愛しいお方には、自然とご奉仕した |
一人の子を生むのにさえ人間はおおぎょうにふるまいますが、一羽のこの地鶏は何もかもひとりでかくれて、飢えも疲れも睡む気も忘れて長い三週間の努力をこっそり行ったのです。自然といいきれば実もふたもありませんが、こんなふうに誰にも気づかれなくともひっそりと、然も見事ないのちを生み出しているようなことを、私たちも何かで仕遂げることが出来たら、春は、いいえ人間の春はもっと楽しく美しい強いもので一ぱいに充たされていくような気がするのです。 (本書P18~19、「春」より) … [続きを読む] |
ここで使用されている言葉は、言葉であって、全くの言葉でしかない。それらは言葉ではあるが、他の何ものでもあり得ない。 そのことによって、言葉は逆に言葉であることを脅かされている。言うなら、書き連ねられることによって意味や条理を剥奪され、全く、ただ在るだけの状態にされた言語自身が感じるであろう不安が、それを読む者、つまり我々をも、やがて脅かさずにはいないのだ。 (川又千秋氏による「解説」より)
『山田太郎十 … [続きを読む] |
「世の中が不公平なんて当たり前だよ。みんな平等に不公平。フェアなんて誰にとっても存在しない」 (本書P47より)
『ツナグ』(辻村深月・著/新潮文庫)を読みました。
使者(ツナグ)という役割というか能力を持つ主人公という設定になかなか素直に入り込めなかった。あり得 … [続きを読む] |
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